はなの病気

急性副鼻腔炎

  • 鼻の周りには副鼻腔という空洞があります。骨の中にある空洞です。頬や眉間、額のあたりなどにあります。副鼻腔と鼻とは自然口という1~3mmの小さな穴でつながれており、そこで副鼻腔の換気や排泄がなされています。ウイルスによる炎症やアレルギー性鼻炎で粘膜が腫れ、この自然口がふさがれたり、炎症から粘液線毛機能(※)が低下したりすると、副鼻腔の換気、排泄が妨げられ中で細菌が繁殖しやすくなります。
  • 副鼻腔で細菌が繁殖し、炎症を起こしたものを急性(細菌性)副鼻腔炎といいます。症状としては膿性鼻汁(色のついた、粘性の鼻)、後鼻漏(鼻がのどにまわる)、鼻づまり、後鼻漏からの咳・痰、頬や歯・眉間・額の痛み(痛む場所は、どこの副鼻腔に炎症を起こしたかによって異なります)、発熱などがあります。急性(細菌性)副鼻腔炎の原因の多くは風邪です。
  • (※)粘液線毛機能:鼻や副鼻腔の粘膜には線毛というものが波打っており、粘液が常に一定方向へ流れています。それによって細菌の繁殖などを防いでいます。寒さやウイルスなどでこれが障害されると、流れが滞り細菌が悪さをしやすくなります。

治療

  • 軽症では自然に治ることもあります。症状が10日以上改善なく続く場合、はじめに改善がみられた後に、再び発熱したり、鼻水や咳などの症状が悪化する場合、高熱(39度以上)と膿性鼻汁が3日以上続く場合は抗生剤の投与を検討します。通常は、ほとんどの方が薬物療法、鼻処置やネブライザーなどの外来治療で治癒します。
  • 最近は耐性菌の増加にともない、急性副鼻腔炎がなかなか治りづらいことがあります。またアレルギー性鼻炎をお持ちの方では、アレルギー性鼻炎の治療も重要です。

慢性副鼻腔炎

  • 膿性の鼻汁や、後鼻漏(鼻がのどにまわる)など副鼻腔炎の症状が3か月以上続く場合は慢性副鼻腔炎といわれます。慢性副鼻腔炎では、あまり痛みは伴いません。嗅覚障害(においがわからない)や長く続く咳、痰の原因になることがあります。一般に副鼻腔の粘膜に炎症を起こすと、粘液や膿が副鼻腔に貯まりますが、通常は鼻腔とつながる穴(自然口)から粘液、膿が徐々に排出され、しだいに治っていきます。
  • 慢性副鼻腔炎では長年の炎症から粘膜が腫れたままになったり、鼻茸(鼻のポリープ)ができたりして、この自然口が狭まることから膿、粘液が十分排出されず、難治となったものです。薬物療法を行ってもなかなか改善しないときは、手術療法を検討します。手術を考えるとき、また経過が典型的でないときはCT検査を行います。腫瘍が隠れていたり、異物などが原因となっていることもあるからです。

好酸球性副鼻腔炎

副鼻腔炎の多くは薬物療法や内視鏡手術で改善できるようになりました。しかし最近アレルギー素因、とくに喘息を背景にした副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)が問題になってきています。通常の副鼻腔炎の薬物療法(抗生剤など)では効果がなく、手術をしても、すぐに鼻茸(鼻のポリープ)ができてきてしまい難治です。副腎皮質ホルモン(ステロイド)が有効ですが、長期に使用する場合には副作用の問題があります。鼻茸からにおいがわからない、鼻づまりなどの症状が起きます。なぜかこの場合の鼻茸は、においの神経の辺りからできてくることが多く、鼻づまりというよりも、においがわからないという症状からはじまります。また好酸球性中耳炎という難治性の中耳炎を起こすこともあります。中等症以上の好酸球性副鼻腔炎は指定難病の対象となっています。

治療

病状に合わせてステロイドの点鼻療法または内服、抗ロイコトリエン剤(喘息でも使われるアレルギーの薬)、手術などを組み合わせて治療します。

アレルギー性鼻炎、花粉症

アレルギー性鼻炎、花粉症
  • 風邪であれば1~2週間で治りますが、3週間も4週間も、くしゃみや水様鼻汁(水っぱな)が続くという場合はアレルギー性鼻炎が疑われます。花粉症もこのアレルギー性鼻炎の一つです。普段は反応しないような家のホコリ、花粉などに対して鼻が反応するようになってしまうのです。くしゃみ、水様鼻汁に加え、粘膜が腫れ鼻づまりを生じます。また目にも反応を起こし、目のかゆみ、涙目などを伴います。これは家のホコリ、花粉などの抗原に対して抗体(IgE抗体)というものが作られることによります。Ⅰ型アレルギーと呼ばれます。
    アレルギー性鼻炎とは鼻の粘膜におけるⅠ型アレルギーです。
  • アレルギー性鼻炎を生じる要因としては遺伝的素因、生活環境、食環境、ライフスタイルなど様々なものが考えられています。残念ながらアレルギー性鼻炎は一度発症してしまうと自然にはなかなか治らないといわれています。

治療

  • 家のホコリ、花粉など何に対して反応しているかがわかれば、まずそれを掃除、メガネ、マスクなどで回避することが最初の治療になります。花粉症に関しては花粉情報にも注意をしましょう。花粉(抗原)にさらされる程度に応じて症状が悪化するからです。薬による治療としては抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、ステロイドの点鼻薬などがあります。抗ヒスタミン剤薬は、主にくしゃみ、鼻水などを止めてくれます。数時間で効果が出てきますが、眠気が問題となることがあります。
  • ロイコトリエン拮抗薬は特に鼻づまりに効果が期待できます。これには眠気がありません。ステロイドの点鼻薬は鼻づまり、くしゃみ、鼻みず、いずれにも十分な効果があります。これも眠気は出ません。またステロイドの内服薬に比べ副作用も少ないです。しかし効果が出るまでに数日かかります。毎日使用しないと本当の効果が出てきません。血管収縮剤といってすぐに鼻を通してくれる点鼻薬もあります。血管収縮剤は1週間くらい使用するのは問題ありませんが、連日して使うと、薬剤性鼻炎といってかえって鼻づまりの原因となることがありますので注意が必要です。
  • このようにそれぞれ薬の機序や特徴が違いますので、症状やライフスタイルに合わせて薬を選択していきます。花粉症では症状も強く、症状がひどくなってからでは薬もなかなか効きづらいので早めに受診することをおすすめします。スギ花粉症であれば2月はじめには受診してください。家のホコリ(ハウスダスト、主にダニ)アレルギーでは症状が1年中あってもおかしくありません。症状が治まってきたら、徐々に治療を軽くしていきます。
  • 長年のアレルギー性鼻炎で薬も効かないような鼻づまりがある方では手術療法が行われる場合があります。レーザーで粘膜を焼き、反応を抑える治療を行っている施設もあります。
  • 減感作療法(免疫療法)という治療もあります。スギやダニのエキスを注射で少しずつ打っていき、スギやダニに対する反応を和らげていく治療です。効果には個人差があります。少なくとも3年間は続けます。現在、免疫療法でも舌下療法といって注射ではなく舌の裏側にエキスの入った錠剤をおく方法が保険診療でできるようになりました。免疫療法には、治療を終了しても効果が持続する、喘息の発症を防ぐ、新たに他のアレルギーになることを防ぐといった他のアレルギー薬にはない特徴があります。

検査

血液検査で先ほどのIgE抗体を測ることで、何に対するアレルギーかがわかります。ダニ、動物の毛、花粉症では春のスギ、ヒノキ、ハンノキ、初夏のカモガヤ、秋のブタクサなどを調べます。検査代は調べる抗原の数によりますが4,000円~5,000円(税抜)程です。

スギ舌下免疫療法について

  • この治療は舌の裏側に錠剤をおき、1分間保持することでスギ花粉によるアレルギー症状を緩和するものです。3年以上、花粉が飛んでいない時期も含め毎日行う必要があります。3年以上行うことで治療を終了しても効果が持続します。しかし残念ながらすべての方に効果があるわけではありません。また、スギ花粉症ではない方、重症の気管支喘息をお持ちの方、この治療によりショックを起こした方は、この治療を受けられません。治療費に関しては、3割負担の方ですと薬剤だけで1か月約1,400円です。初回は院内で実施し、投与後30分経過観察を行います。当院でも治療を行っております。詳しくは当院医師にご相談ください。また舌下免疫療法について詳しく解説した下記のサイトもあります。
  • ※スギ花粉のシーズン中には治療を始めることができません。スギ舌下療法をご希望の方は、花粉の飛散が終了した6月から12月の間に再度受診してください。

ダニ舌下免疫療法について

  • この治療は舌の裏側に錠剤をおき、1分間保持することでダニアレルギーの症状を緩和します。3年以上、毎日行う必要があります。3年以上行うことで治療を終了しても効果が持続します。しかし残念ながらすべての方に効果があるわけではありません。また、ダニアレルギーではない方、重症の気管支喘息をお持ちの方、この治療によりショックを起こした方は、この治療を受けられません。治療費に関しては、3割負担の方ですと薬剤だけで1か月約1,800円です。初回は院内で実施し、投与後30分経過観察を行います。当院でも治療を行っております。詳しくは当院医師にご相談ください。また舌下免疫療法について詳しく解説した下記のサイトもあります。
  • 免疫療法ナビ

鼻前庭炎

鼻の入り口付近の皮脂腺や毛嚢に炎症を起こしたものを鼻前庭炎といいます。鼻の穴の周りが赤く、かゆい、痛いという症状が出ます。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎で鼻汁が多く出たり、鼻をいじりすぎたりすることが誘因となります。治療には抗生剤入りの軟膏を塗ります。

鼻の症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり

  • くしゃみ、鼻水、鼻づまりは、風邪の一般的な症状です。しかし高熱や、頬や目の痛みを伴ったり、2~3週間以上症状が続く場合は風邪以外の病気を考える必要があります。くしゃみや水様鼻汁(水っぱな)が3~4週間以上続く場合はアレルギー性鼻炎、花粉症などが、頬や目の痛みがあったり、膿性の、色のついた鼻が続く場合は急性副鼻腔炎が疑われます。
  • 数ヶ月、膿性の鼻や後鼻漏といって鼻がのどにまわることが続く場合は慢性副鼻腔炎となっているかもしれません。長い間、鼻づまりが続くときは鼻茸(鼻のポリープ)ができていたり、まれですが腫瘍性病変が隠れていることがあります。放置せず一度受診することをおすすめします。
  • 小さいお子さんでは、アデノイドといって鼻の奥の扁桃組織が腫れていることがあります。いつも口呼吸をしていたり、数ヶ月いびきや特に睡眠中に胸がへこむような呼吸をしているときは睡眠時無呼吸症候群を生じているかもしれません。一度受診することをおすすめします。
  • 冬では乾燥性鼻炎と言って乾燥から鼻の入り口にかさぶたがつき鼻がつまるということもあります。

鼻出血

  • 鼻出血は鼻中隔(鼻の真ん中のしきり)の、特に入り口に近い粘膜から出ることが多いです。主な原因としては副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など鼻の炎症、外的刺激・外傷(指で傷つけた、乾燥など)です。鼻出血を止めるには出血部の圧迫が重要です。応急処置として、座った状態で前かがみになり、鼻翼(小鼻、鼻の左右の膨らんだ部分)を両方から指で5分位強くつまんでください。それでも出血の勢いがおさまらない場合は病院での治療が必要です。抗生剤軟膏つきガーゼを鼻に詰めたり、出血部を焼くこともあります。ガーゼは2~3日詰めておきます。
  • 鼻出血を繰り返す場合は、高血圧、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの病気があればそれぞれの病気に対する治療が重要です。また腫瘍性疾患や血液の病気など全身的疾患がないかを調べます。お薬で血が止まりにくくなっていることがあります、受診時にはお薬手帳をご持参ください。

鼻の痛み

  • 風邪症状の後から、頬や、額、眉間のあたりが痛いというときは急性副鼻腔炎が疑われます。鼻の入り口付近の皮脂腺や毛嚢に炎症を起こしたものを鼻前庭炎といいます。鼻の穴の周りに小さい発疹を生じ、かゆい、痛いという症状が出ます。
  • 鼻の皮膚が赤くなり腫れ、痛いという場合は、せつと言って皮膚の毛嚢や皮脂腺からの炎症が皮下組織に広がったものかもしれません。抗生剤入り軟膏や、場合により抗生剤を処方します。鼻毛を抜いたり、爪で引っかいたり、触りすぎが原因とされます。面疔とも呼ばれます。鼻の皮膚の血液は直接脳の方へ流れているため悪化した場合脳の方にも炎症を起こす可能性があります。とくに糖尿病を患われている方、ご高齢の方には注意が必要です。炎症を起こしているところは触らないようにしましょう。

においがわからない

  • 鼻の炎症から鼻の粘膜が腫れ、においの神経のところまでにおい物質が届かないため、においがわからないということがあります。原因としては慢性副鼻腔炎、またそれに伴う鼻茸(鼻のポリープ)、アレルギー性鼻炎、花粉症などが考えられます。この場合はそれぞれの病気に対する治療が必要です。
  • 風邪でも一時的ににおいがわからなくなることがあります。しかし、風邪が治ってもにおいがわからないというときは、風邪のウイルスによってにおいの神経が障害されている可能性があります。この場合はステロイド点鼻療法や漢方薬などの治療を行います。
  • 喘息をお持ちの方で、においが分かりづらいという場合は鼻茸(鼻のポリープ)ができてしまっているかもしれません。喘息の方は体質的に鼻茸ができやすく、なぜかにおいの神経のある辺りから鼻茸が生じてきます。好酸球性副鼻腔炎という病気です。

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