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重症度に応じて抗生剤による治療を行います。抗生剤による治療では、耐性菌に対してもしっかり効くよう、また耐性菌を作らないよう薬剤の選択にも工夫がなされてきています。鼻の処置などで鼻炎を改善させることも重要です。耳の痛みにはアセトアミノフェン(カロナールなど)の痛み止めを使います。鼓膜の奥の浸出液がなくなり、鼓膜が正常な状態になるまで経過観察を行います。とくに大きいお子さんでは、軽症の場合には抗生剤を処方しないことがあります。これはなるべく耐性菌を作らないようにするためです。ヨーロッパのいくつかの国ではこの傾向が強いです。中耳炎に対して抗生剤をあまり処方しないオランダでは耐性菌が少ないそうです。
風邪がきっかけとなることが多いので、まず風邪にかからないようにすることが重要です。保育所などへの通所の仕方を変えることで、中耳炎を繰り返しにくくなったという報告があります。またRSウイルスやインフルエンザ、アデノウイルスは中耳炎を起こしやすいといわれています。流行時には注意が必要です。生後6か月まで母乳栄養を行うことも、中耳炎を予防したり、中耳炎の頻度を減らす効果があることが示されています。寝たままの授乳や受動喫煙を避けることも、中耳炎を予防する効果があるようです。
半年の間に3回以上、または1年の間に4回以上、中耳炎を起こしてしまう場合は反復性中耳炎といわれます。中耳炎を繰り返さないようにするためにチューブを鼓膜に挿入することがあります。十全大補湯という漢方の有効性も示されています。
中耳(鼓膜の奥の骨に囲まれた空洞)に浸出液がたまる病気です。お子さんに多い病気です。就学までに約9割のお子さんが一度は罹患するといわれています。多くは生後6か月から4歳までに生じます。鼻の奥には、耳管といって中耳とつながる管があります。中耳の換気をする管です。この耳管が感染などからうまく働かなくなることが原因と考えられています。ですから中耳炎を起こした後や、鼻炎が続くときになりやすいです。痛みもないため、お子さんではとくに症状を訴えることがなく、TVのボリュームが大きい、聞き返しが多いなどから気づかれることがあります。
自然に治ることも多い病気です。中耳炎の後に生じた場合は3か月後には74%が自然に解消されているといわれます。ですから治療の基本は経過観察となります。もちろん鼻炎や副鼻腔炎がある場合はそれらの病気に対する治療が重要です。またOtovent(オトヴェント)といって、鼻で風船を膨らまし耳抜きをする器具があります。体に負担がかかるものではないので治療として行われることがあります。経過が長く難聴が続いているとき、鼓膜に癒着などの異常が生じているときはチューブ留置術(換気のための小さいチューブを鼓膜に挿入)を行ったり、またアデノイド切除術が行われることがあります。マクロライド少量長期投与という薬物療法もあります。年齢とともに耳管も発達し、かかりづらくなる病気です。就学時には9割のお子さんが治癒するといわれています。しかし、なかには難治性で癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎を生じることがあります。定期的な経過観察が必要です。冬には治りづらい傾向があります。成人の方でも生じますが、とくにきっかけもなく生じる場合は腫瘍が隠れていることがあります。ファイバーなどで鼻の奥を調べます。
鼓膜(耳の奥にある音をとらえる膜)に穴が残ってしまっている状態です。そのため難聴を生じます。風邪を引いた後や、海などで汚い水が耳の中に入ってしまった後に炎症を起こしやすく耳だれが出てきます。慢性的な炎症から内耳障害を起こし、ゆっくり難聴が進んでいきます。まためまいを起こしやすくなったりします。
耳だれなど感染が生じているときは洗浄や抗生剤の点耳を行います。現在は鼓膜を手術で閉じることができるようになっています。鼓膜を閉じることで、耳だれを起こさないようにし、内耳障害の進行を止めることが目的です。内耳障害の程度や、耳小骨(鼓膜の内側にある音を伝える小さな3つの骨)の状態にもよりますが手術で難聴が改善する可能性もあります。手術を希望される場合は専門の施設へ紹介いたします。
治療は手術により、真珠腫を取り除くことです。再発の有無を確認しながら数回に分けて手術が行われることもあります。真珠腫があまり広がっていなければ手術により聴力を保存できる可能性がありますが、手術の一番の目的は真珠腫を治癒させることになります。
耳が原因のめまいの中で2番目に多い疾患です。めまいや難聴を繰り返すことが特徴です。難聴や耳閉感(耳がつまった感じ)、耳鳴と同時に、あるいはその前後でめまいを生じます。内耳の内リンパ液の過剰産生や吸収障害による特発性内リンパ水腫ができるためにひき起こされる症状です。ストレスや体の疲れ、睡眠不足などが誘因となります。神経質で几帳面な方が発症しやすい傾向にあります。このため睡眠を十分にとり、仕事や日常生活での無理を避け、ストレスから解放されるだけで改善することもあります。また有酸素運動も効果があります。治療は浸透圧利尿剤を使います。心理的因子の影響が強い場合は抗不安薬などを使うこともあります。めまい発作や難聴を繰り返すことにより聴力も徐々に悪化していくことがあるため発作をなるべく起こさないよう、日常生活の改善が重要なポイントです。
耳が原因のめまいの中で最も多い疾患です。頭を動かしたときに数秒から数十秒の激しい回転性めまいがおこります。内耳の一部の耳石がはがれて半規管を浮遊したりして症状を起こすといわれています。症状や眼振検査で特徴的な眼振がみられることで診断します。治療は耳石を元の位置にもどす理学療法が行われます。自宅での頭位運動などのリハビリで早期に治すことができます。あまり症状が強いときには薬を内服する場合もあります。
先天性耳瘻孔は耳介や耳介周囲に生じた瘻管・のう胞(ふくろ)です。胎生期の耳介形成不全と考えられています。外見的には小さな穴がみられるのみです。多くは耳介の手前にあります。圧迫するとにおいのある白い分泌物がみられます。日本では2%前後の方にみられるという報告があります。とくに感染などを起こさなければ治療の必要はありません。感染・炎症を繰り返す場合は手術で摘出します。
風邪を引いているときや鼻炎があるときに、急に耳が痛くなってきたという場合には急性中耳炎が疑われます。中耳(鼓膜の奥の骨に囲まれた空洞)に炎症を起こす病気です。飛行機の離着陸の際に起こることもあります。耳かきをしすぎた後などは、耳の穴を傷つけ、外耳炎になっているかもしれません。また耳に異常がなくても放散痛といってのどの痛みなどが耳にひびくことがあります。